らくのう家の一年YEAR
牛さんのごはんは
どうやって作っているの?
らくのう家の仕事には、牛を育てて毎日牛乳を搾ることの他に、牛のえさを作ることも大切な仕事の一つです。熊本の土地に合った牧草を育て、牛の健康と栄養のことを考えて、酪農家さんはえさ作りをしています。
えさ作りを
のぞいてみよう熊本の代表的な体系
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とうもろこし
二期作トウモロコシを1年に2回作ります。トウモロコシは牧草の中では栄養価が高く、収穫量が多いため牧草の中ではキングのような存在です。トウモロコシの実と茎葉の全てが牛のエサになります。収穫されたトウモロコシはサイレージ(乳酸発酵させたもの)となります。トウモロコシを2回作ることができるのは、熊本のような暖かい地域に限られます。
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とうもろこしと
牧草二毛作。夏にトウモロコシ、秋~春にかけて牧草を作ります。春から秋にかけて、イタリアンライグラスという牧草が多く作られています。
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牧草
畑から1年間牧草をとります。年に数回種まきをして牧草を収穫するタイプと、1回種まきしたら数年間種まきすることなく収穫できるタイプ(永年草利用)があります。
サイレージ
サイレージとは人間が食べるお漬物みたいなもので、えさを長期保存するためにサイロなどで発酵させたものを言います。サイロとは、米・小麦・とうもろこし・大豆等の農産物、家畜の飼料を保存する倉庫や容器などのことです。サイレージは一般に、青刈りした牧草を発酵させたもの(牧草サイレージ)を言い、それ以外の場合には、サイレージの前に穀物名を付けて呼ぶこともあります。
ロールベールサイレージ
ロールベールサイレージは、山や畑などでよく見かける白い俵状のもので、牧草を乳酸発酵させたものです。
刈られた牧草をロールベーラーという機械で円筒状に固めます。その後ラップマシーンという機械で周りをラッピングします。約1ヶ月そのままにして、乳酸発酵させることで、長期保存もでき、牛さんの大好きなえさになります。
ロールベールの作り方
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円筒状に固める
ロールベーラーで畑の牧草を集め、円筒状に固めます。
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ラッピング
ラップマシーンに固めた牧草を移し、大きなラップフィルムで牧草の周りをラッピングします。
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完成
ロールベールの出来上がり。
牧草サイレージ
牧草を乳酸発酵させることで長期保存ができ、うしさんの食欲もすすみます。
コーンサイレージ
コーンサイレージは、トウモロコシを細かくして乳酸発酵させたものです。
畑で見かける草丈が2mを超えるような大きなトウモロコシは、家畜のエサとして育てられています。トウモロコシは、牛に必要な繊維と共に、栄養価の高い実が付いているため、牛にとって栄養的にバランスの良いエサです。
春から夏に種子を播き、収穫を迎えたトウモロコシをハーベスターという機械で細かく刻みながら刈り取って、ダンプに積んでバンカーサイロへ運びます。フロントローダーで踏み込んで空気を抜きビニールで密封して、約1ヶ月乳酸発酵させたものが牛さんのえさになります。
コーンサイレージの作り方
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細かく刻む
ハーベスターでトウモロコシを細かく刻みながらダンプに積みます。
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踏み込む
バンカーサイロに運んだトウモロコシは、フロントローダーで踏み込みます。
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完成
約1ヶ月間で出来上がり。
コーンサイレージ
トウモロコシを細かくして、乳酸発酵させたもの。栄養豊富な牛さんのえさです。
飼料用トウモロコシが
育っています!
試験研究と県内酪農家のより良いエサ作りの研修の場として、飼料用トウモロコシ展示圃場を球磨郡相良村に設置しました。
数種類のトウモロコシの比較試験や肥料の試験をしています。また、トウモロコシが大きくなる夏場には、酪農家や関係者を集め、現地研修会を開催する予定です。
今年は5月28日(金)に種まきをし、現在12種類の飼料用トウモロコシが順調に生長しています。8月には高さ3m位の大きなトウモロコシに生長している予定です。
球磨郡相良村の畑に飼料用トウモロコシを種まきして、1ヶ月が経ちました。現在、トウモロコシは50cm位の高さにまでなっています。6月8日に生育状況を確認した時、10cm程度だったことを考えると、20日間で40cm程度生長したことになります。また、トウモロコシも大きくなりましたが、トウモロコシに負けす劣らず、周りの雑草も大きくなってきました。
このことは、畑の中でトウモロコシと雑草が生存競争をしているということを意味しています。トウモロコシを育てるということは、ある意味、雑草との闘いでもあるのです。特に、種まきしてからの1ヶ月間は重要です。トウモロコシが、雑草より先に大きくなれば、雑草には日光が当たらず、雑草の生育を抑制することができます。逆に、雑草の生育がトウモロコシより旺盛だと、今後、トウモロコシがうまく育っていかないことになります。
現在、ここの畑の状況はというと、トウモロコシの生育が勝り、今のところ順調です。今後の生長が楽しみになってきました。
トウモロコシの種まきをして約2ヶ月。猛暑の今日、麦わら帽子を片手に、展示圃場へと出掛けました。トウモロコシは前回の調査の時(6月28日)より、1m位高くなっており、畑全体の平均で、人の背丈くらいの高さにまで生長していました。
トウモロコシは高い気温を好む為、猛暑続きのこれからは、益々生育が旺盛となり、日に日に大きくなります。実を付ける時期が、もうそこに迫ってきました。
トウモロコシの種まきをして、ちょうど2ヶ月。
今日はあいにくの雨模様です。1週間前の調査の時にはなかった穂が出ていました。高さも1週間前の倍の高さの3m。最近の猛暑で急激に生長しました。収穫まで約1ヶ月となってきました。
トウモロコシの不思議/トウモロコシの実に生える髪の毛!?
トウモロコシが穂を出す時期を「出穂期」、その後の花を咲かせる時期を「開花期」と呼びます。
開花期には、トウモロコシは一番高い所の穂(雄穂)に花を咲かせ、トウモロコシの中ほどにある実の部分(雌穂)に花粉を落とします。また、雌穂は、まるで髪の毛のような糸(絹糸)を何本も出しています。その絹糸で花粉を受け止め、受精できた数だけが実(粒)となります。絹糸の1本1本は、トウモロコシの実一粒一粒に繋がっています。
トウモロコシを茹でて食べる時、粒の隙間にある糸が気になり、邪魔だと思う事もありますが、重要なものだったのです。
いよいよ現地検討会の日となりました。 今日はあいにくの晴れ模様です(笑)。麦わら帽子を新調した甲斐がありました。トウモロコシは7月28日からも順調に生育し、実が大きく育っています。
酪農家や関係者が集まる中、午前10時からの午前中、現地検討会を開催しました。実際にトウモロコシを見ながら、展示圃場の試験内容やこれまでの生育状況を簡単に説明しました。強い日射しが降り注ぎ、暑い中での勉強会でしたが、参加者で活発な意見交換をすることが出来ました。
午後は、トウモロコシの病気や草丈の調査を実施しました。全体的には、病気にかかることもなく、草丈は前回と同じく3m程度までになっていました。あとは収量調査を残すのみとなりました。
収量調査の日を迎えました。本日も晴天なり。
今回の収量調査には、夏休み期間中にも関わらず、南稜高校の生徒さんと先生(16名)が実習を兼ね、参加されました。トウモロコシの事や収量調査のやり方について、簡単な説明をした後、3班に分かれて調査をしました。調査の内容は、24区画のトウモロコシを鎌を使って刈り取り、実と茎葉に分けて重量測定。例年、数日かけて実施している収量調査は、賑やかな雰囲気の中、わずか2時間程度で終了することができました。暑い中での作業でしたが、さすがに南稜高校の生徒さん達は元気でした。
今回の調査データは酪農家さんの為の情報として活用されます。また、参加した高校生の皆さんには、今後、この経験が活かされることを期待します。暑い中、お疲れ様でした。
南稜高校の生徒さん達と展示園場でご協力いただいている酪農家の中村隼人さん
トウモロコシの不思議/エサ用のトウモロコシの実を食べたらおいしいの!?
普段、スーパー等でよく見かけるトウモロコシは、スイートコーンです。茹でたり焼いたりして食べると、甘くて美味しいですよね。それでは、エサ用のトウモロコシは美味しいのでしょうか? 答えは、「とっても美味しい?」です。
エサ用のトウモロコシは、スイートコーンのような甘さはありません。味や歯ごたえは、昔よく食べられていた「もちきび」に似ています。好みの問題になりますが、甘いのが好きな方はスイートコーンが美味しいと思うでしょうし、甘いのが苦手な方は、エサ用のトウモロコシが合うのうかもしれません。個人ごとですが、もちきびが大好きだった私は、エサ用のトウモロコシも大好きです。収穫前によく酪農家さんから頂いて、牛になったつもりで食べています。実は大きいので、食べ応えがありますよ。
飼料用トウモロコシ展示圃場がスッキリ。全体のトウモロコシが機械で刈り取られました。展示圃場の面積は約1ha(10,000m²)、収穫出来た量は約50トンでした。トウモロコシはハーベスターという機械で刈り取られ、スタックサイロと言われる簡易なサイロ(入れ物)に詰められました。サイロに詰められたトウモロコシは、約1ヶ月間乳酸発酵をさせ、長期保管可能なエサとなった後、乳牛に給与されます。ちなみに、実の部分だけではなく、茎や葉も一緒にサイロに詰められ、乳牛のエサとして利用されます。
この後の展示圃場の展開は...
10月頃から、来春収穫する牧草の展示や生育試験を実施する予定ですので、トウモロコシの後は、牧草に焦点を当て、牧草の種類や生育状況などを紹介していきます。牧草と一口に言っても、色んな種類があるんですよ。お楽しみに!
トウモロコシの収穫風景
トウモロコシの不思議/偶数?
畑に出かけた時、トウモロコシの実を半分に折り、その断面を見ることがあります。それは、収穫に適した時期かどうかを判断するためです。トウモロコシの実の断面を見ると、実の部分に黄色と白色の境界線があります。この境界線をミルクラインと呼び、刈り取り時期を知る判断材料の1つとなっています。ミルクラインは、実が熟してくると黄色の部分が外側から内側に下りていきます。刈り取り時期の判断は、ミルクラインが実の中間くらいまで下りてきた時(黄熟期)と言われています。ミルクラインが出ている時のトウモロコシの実は、色合いがとても綺麗です。
また、半分に折ったトウモロコシを見ているとあることに気づきます。それは、実の数を数えると偶数だと言うことです。生育に影響を及ぼすような事(受粉出来ない、虫に食べられるなど)が無い限り、偶数になります。よく食べられるスイートコーンでも偶数になっていますから、半分に折って数えてみるとおもしろいですよ。